クサラのシャシー設計は先代のZX同様、親会社のプジョー・306と共通であり(正確にはZXが306の母体となっている)、もちろんシトロエン独特のハイドロニューマティックサスペンションは装備されていない。シトロエンらしいデザインや技術上の特色を薄めることに熱心であったと言われるジャック・カルヴェの時代(1982年から99年までシトロエン会長)の産物らしく、兄貴分エグザンティアに似た、ノッチバック風のボディスタイルの3/5ドアハッチバック、5ドアワゴンには過去のシトロエンのような強烈な個性は無く、ヨーロッパでも
フォード・フォーカスやVWゴルフなどのトップセラーの敵にはなり得ず、特に南欧地方を中心に、専ら低価格に頼った販売が行われた。
日本にも各種モデルが当初は新西武自動車販売から、後にはシトロエン・ジャポンから正規輸入されたが、空冷水平対向エンジンもハイドロニューマティックも持たないシトロエンの例に漏れず、ファナティックな愛好家が多い日本市場では全く成功しなかった。しかしクサラは前身のZX同様高水準の乗り心地、安楽なシート、良好な操縦性を有しており、内外装の仕上げもZXよりは改善されており、自動車としての資質は決して低くはなかった。
1998年にはアイルランドのSemperit Irish Car
of the Yearを受賞している。