【いすゞ】
【ビークロス】
1993年、いすゞはコンセプトカー「ヴィークロス」(ビークロスではない)を第30回東京モーターショーに参考出品させ、その前衛的なスタイリングが広く衆目を集めた。ただヴィークロスは量産型「ビークロス」とは異なり、ジェミニ4WD車のシャシーを流用しており、クロスオーバーSUVに近い性格のモデルであった。
ヴィークロスがショー来場者の良好な反応を集めたため市販型の開発が決定、1997年、車名も新たに「ビークロス」として発売された。(当時の担当者が運輸省へ認可のための書類を提出する際、誤って『ビークロス』としたといわれている。そのためか、いすゞのパンフレットなどにはプライドからか『ヴィークロス』と表記されているものが多い。)シャシーはビッグホーン・ショート型のものに変更となり、車種の性格も本格的なクロスカントリーSUVに改められた。ベース車種が大幅に変更となったため、コンセプトカーのデザインを再現するにあたって相当な困難があったとされている。実車は長くなったオーバーハングなどショーモデルと異なる部分はあるものの、全体としてショーモデルの雰囲気が再現されていた。車体組立てに本来収縮率の異なる鋼体とPPとをうまく接合させる事に神経を使うデザインであったため、かつて117クーペハンドメイド車に携わった熟練組立工が手作業で担当したのも隠れた逸話である。
2002年、ビークロスは強化された北米での衝突安全基準等への対応も難しくなったため、スペシャリティSUVの座をアクシオムに譲り渡し、生産・販売を終了した。
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